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避妊手術は、愛犬の健康を守るためや繁殖を防ぐために行われる大切な処置です。しかし、メリットだけでなく、いくつかのデメリットやリスクも伴います。ここでは、避妊手術を検討する際に知っておきたいポイントを動物病院が詳しく解説します。

 

1.犬の避妊手術、デメリットはあるの?

 

おしっこが漏れ出ちゃう

避妊手術後、ホルモンバランスの変化によって尿失禁(ホルモン反応性尿失禁)を発症する可能性がまれにあります。特にメスの大型犬では、小型犬に比べて発症率が高い傾向にあるため、注意が必要です。尿失禁は術後すぐに起こるわけではなく、数年かけてホルモン減少が進行する中で、排尿をコントロールする筋肉が弱まることで発症します。

この症状が出た場合、ホルモン剤や内服薬を用いた治療が一般的で、多くの場合、日常生活に大きな支障が出ることはありません。しかし、飼い主様が愛犬の尿失禁に気づかず放置してしまうと、不快感や皮膚炎につながる可能性があるため、症状が見られたら早めに獣医師に相談することが大切です。

全身麻酔・手術のリスク

避妊手術は全身麻酔を必要とするため、麻酔や手術そのもののリスクが伴います。麻酔の影響で血圧が下がったり、呼吸が弱まったりすることがあり、まれに麻酔薬へのアレルギー反応が出る場合もあります。

また、手術による体の負担や術後の回復期間も考慮する必要があります。

当院では、手術前に血液検査を行い、愛犬が麻酔に耐えられる健康状態かどうかをしっかり確認します。また、手術中は麻酔モニターを用いて犬の状態を厳密に管理し、リスクを最小限に抑えるよう努めています。術後も獣医師の指導に従って安静にし、愛犬の体調をしっかり観察しましょう。

肥満体型になる可能性

避妊手術後はホルモンバランスが変化し、基礎代謝が低下するため、犬が太りやすくなることがあります。一方で、食欲が増す犬も多いため、エネルギーの消費量に見合った適切な食事管理が必要です。普段と同じフードや量を与えていると、体重が増加し、肥満につながるリスクが高まります。

肥満は、関節への負担や糖尿病、心疾患などの健康問題を引き起こす可能性があります。当院では避妊手術後、避妊・去勢後専用のフードや、ダイエットフードも取り揃えておりますのでその子にあったフードをご提案させていただきます。また、定期的な散歩や遊びなど、適度な運動を取り入れることで解消することができます。

今後妊娠できなくなる

避妊手術では、繁殖に必要な卵巣や子宮を摘出するため、一度手術を行うと妊娠することはできなくなります。これは手術の目的そのものですが、愛犬と過ごす中で「子犬が欲しい」と気持ちが変わる飼い主さんも少なくありません。そのため、将来的に繁殖を考える可能性がある場合は、手術を行う前に家族全員で十分話し合い、後悔のない決断をしてください。

2.デメリット以上のメリットがある!?

 

命に係わる病気の発症率を大幅に低減

避妊手術は、乳腺腫瘍(乳がん)や子宮蓄膿症、子宮内膜炎などの発症リスクを大幅に減らすことができます。特に乳腺腫瘍は初回発情前に手術を行うことで予防効果が高まります。

また、卵巣を摘出するため、卵巣腫瘍や卵胞嚢腫といった卵巣疾患も防ぐことができます。

これらの病気の中には命に関わるものも多く、手術を受けることで愛犬の健康寿命を大幅に延ばすことが期待されます。

発情出血がなくなる

発情期には2~3週間続く発情出血があります。血による部屋の汚れや、愛犬にマナーパンツを着用させる手間は、飼い主様にとって負担となることもあります。

避妊手術を行えば発情自体がなくなるため、こうした負担も解消できます。

また、愛犬にとっても出血や発情期特有の不快感がなくなり、快適な生活を送ることができます。

吠え、噛みなどの問題行動の減少

発情期の犬はホルモンの影響で精神的に不安定になることがあり、吠えやすくなったり噛むといった問題行動を起こすことがあります。

避妊手術を行うことで発情期がなくなるため、こうした行動を予防できます。特に初回発情前の手術では予防効果が高くなります。

愛犬が穏やかで落ち着いた状態を保つことで、飼い主様との生活がよりスムーズになるでしょう。

ホルモンバランスによるストレスの軽減

発情期にはホルモンバランスの変化で、情緒が不安定になり食欲不振や問題行動が起こることがあります。

また、発情後に妊娠していないのに巣作り行動や乳腺の腫れが見られる偽妊娠が発生することもあります。避妊手術を行うことで、これらの発情期特有のストレスや体調変化を予防することができます。

情緒が安定し、穏やかな生活を送れるようになるため、愛犬の心身の健康に大きく貢献します。

望まない妊娠を防げる

避妊手術を行うことで、望まない妊娠を確実に防ぐことができます。妊娠を防ぐためのホルモン注射もありますが、確実性に欠ける場合があります。出産が避けられない場合には、子犬の世話や里親探しといった大きな責任が伴います。

避妊手術は、こうした不測の事態を未然に防ぎ、飼い主様の負担を軽減するとともに、愛犬と安心して過ごせる環境を作る重要な手段です。

 

3.そもそも犬の避妊手術ってなに?愛犬を⻑生きさせるために

 

避妊手術とは

卵巣と子宮を摘出する卵巣子宮摘出術や、卵巣のみを摘出する卵巣摘出手術があります。どちらも全身麻酔下で行われ、1時間程度で完了します。避妊手術を行うことで発情がなくなり、妊娠することができなくなります。

不妊治療をした犬のほうが⻑生き

不妊手術を受けた犬は、メスで26%、オスで18%寿命が長くなるといわれています。病気予防の効果やストレス緩和により健康寿命の延長につながります。

*犬種等により、ごく稀に異なる場合がございますので獣医師にご相談ください

4.避妊手術の適切な時期

 

不適切な時期に行ってしまうと、あるリスクが上昇

犬も人と同じように、加齢に伴い循環機能や呼吸器機能が低下し、麻酔リスクが高まります。小型犬は10歳以上、大型犬は8歳以上が「高齢犬」とされ、この年齢での避妊手術は特に慎重な判断が求められます。

しかし、この年齢より若い場合でも、若齢期を過ぎると麻酔リスクは年々増加します。そのため、避妊手術を検討する際は、できるだけ早めに計画を立てることが重要です。

特に健康状態が良好な若齢期に行うことで、手術の安全性が向上します。愛犬の年齢や体調を考慮し、最適な時期を獣医師と相談して決めましょう。

適切な時期に行いましょう

アメリカ動物病院協会(AAHA)は、生後4~6か月での手術を推奨しています。この時期であれば、生殖器が発達して妊娠リスクがないうえ、乳腺腫瘍をほぼ100%予防できます。

適切な時期に手術を行い、愛犬の健康を守りましょう。

5.結論、避妊手術はやるべき!

避妊手術は、病気の予防、発情期のストレス軽減、行動の安定化、望まない妊娠の防止など、多くのメリットがあります。

デメリットも存在しますが、これらは飼い主様の適切なケアや獣医師のサポートで防ぐことが可能です。

愛犬の健康寿命を延ばし、穏やかな生活を送るために、避妊手術は非常に有効な選択肢です。大切な家族である愛犬のために、ぜひ前向きに検討してください。

 

当院では、避妊・去勢手術に関するご相談やご予約を承っております。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。ご予約やご相談は、下記のクロス動物医療センター公式LINEでも24時間受け付けておりますので、ぜひご利用ください。