preventive medicine
予防医療
フィラリア予防について
①フィラリア症とは
フィラリア症とは、動物の体内にフィラリア(糸状虫)が入りこみ、成長した虫が心臓や肺の動脈に寄生した結果、悪影響を及ぼす病気です。
犬では種類や年齢などにかかわらず、どんな犬にでも感染するリスクがあります。最悪の場合、死に至ることもある恐ろしい病気です。
フィラリア(糸状虫)は、蚊によって運ばれ、広がっていきます。
日本では主にヒトスジシマカやアカイエカが媒介することが多いです。
②フィラリアが感染するまでの流れ
ここで、フィラリアが体内に入っていく流れを簡単に説明します。
②-1.フィラリア感染動物より蚊がフィラリア子虫を取り込み
蚊が、フィラリア感染動物の血液を吸うとき、血液中の子虫(ミクロフィラリア)を一緒に取り込みます。
これにより、ミクロフィラリアは蚊の体内に入ります。
②-2.ミクロフィラリアが蚊の体内で感染能力を持つ
ミクロフィラリアは、蚊の体内で2回脱皮すると、イヌへの感染能力を持った幼虫(感染幼虫)になります。
②-3.ミクロフィラリアが動物の体内に侵入
感染幼虫に寄生された蚊が犬に吸血するとき、その刺口から犬の体内にミクロフィラリアが入り込みます。
動物の体内に侵入しただけで、感染したことにはならず、症状は出ません。
②-4.犬の体内に寄生
犬の体内に入った感染幼虫は皮膚の下(筋肉や脂肪の周りなど)で生活しながら、 2回の脱皮を繰り返して、心臓や肺などに移動していきます。
フィラリアが体内にに住みついて、心臓や肺の血管を傷つけ、何年も経った時に気がつくことが多いです。
予防をせず、検査もしていなかった場合、ひどい症状が出たときにはじめて気がつくこともあります。
完全に成熟したフィラリアは、長さ15~30cm程度の“ひも”みたいな形をしています。
③フィラリア症にかかると
前述したとおり、多くの成虫は肺の血管や心臓を傷つけていきます。
その結果、「乾いた咳をする」、「運動をいやがる」「元気がない」「お腹が膨らんできた」など様々な症状が見られ、腎臓や肝臓の働きまで影響が出ることで、より深刻な症状がみられるようになってきます。
④フィラリア予防について
フィラリアに対して最も有効な対策としては、予防薬を飲むことです。
当院では様々なフィラリア予防薬を準備しています。
お薬を飲める子には飲み薬、おやつタイプ、お薬を飲めない子にはスポットタイプや注射タイプ(1年に1回)も提案させていただいています。
フィラリア予防でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。
クロス動物医療センターグループ
主任動物看護師 阿片